偽典・女神転生 東京黙示録

第九話「解放」

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珍しくすっきり目覚めた。
こんなに目覚めがいい朝はいつ以来か?
シェルターでの生活が懐かしい。
時計を見ると、感慨にふけっている時間はなかった。
アタックブーツを履き、ブルゾンを羽織り、アームターミナルを身につけ、メタルグローブを着けた。
園田も準備を終えたようだ。
僕はフリッツヘルムを被り、剣と銃を持った。
「葛城、こちらは準備を終えたよ。君は?」
「いつでもいいですよ。」
「では、行こう。みんなも待っているだろう。」

「おはよう葛城、いよいよだな!!」
どうやら早坂も上河も準備をとっくのとうに終わっていたようだ。
「葛城さん。武器弾薬の準備は万全ですか?」
上河の問いに僕は
「まだ、少し不安がある。」
と答えた。
「でも、それ以上の装備はここでは期待できませんよ。
集合場所に向かいましょう。
そうそう。これをお渡ししておきます。
あれば、多少は心強いですからね。」
救急医療セットを手渡された。
「ちょっと待ってよ!」
桐島も合流した。
「英美、遅いぞ。」
「ごめん、達也。」
「みんなそろったな。じゃあ、出発だ!!」
「おうッ!!」
園田の号令で僕らは集合場所である下水処理場の出口に向かった。

集合場所にはもうすでに多数のレジスタンスたちが待機していた。
僕らの姿を確認した一人のレジスタンスが僕らに話しかけた。
「外には、既にトレーラーが待機している。
葛城と、上河はこれを着て荷台に乗れ。
後は、荷物の中に隠れるんだ。」
僕と上河は、渡された作業服を着込み、トレーラーに向かった。

外ではレジスタンスたちがトレーラーの中に入り込んでいる。

トレーラーの近づいてくる音がする・・・・・・
近づいてきたトレーラーに、主人公達は乗り込んだ。

日の光があるせいか、あまりにも多くのトレーラーの数のせいだろうかそれとも僕らが放っている殺気のせいだろうか
地上での移動中、悪魔たちの姿が見られなかった。
トレーラーは、新宿労働キャンプの入り口に着いた。
入り口の両脇には、それぞれバール兵が立っており、キャンプ内に入る者を見張っている。
作戦通り、トレーラーは何食わぬふりをしてキャンプ内に入ろうとした。
その時、バール兵の一人が話し掛けてきた。
「ちょっと待て!・・・・・どうも譜に落ちん。
第一お前、見かけない顔だな・・・・・・」
バール兵は、僕を怪しんでいるようだ。
「前からいますよ」
そんな僕の答えでも疑いが晴れないようだ。
「・・・・・・・にしては、見覚えが無い顔だな・・・・・・」
じっと相手の目を見た。
僕の目をまっすぐみたバール兵は、躊躇したかのようにすぐ目を逸らした。
「む・・・・ま・・・・まあいいだろう
よし!通れ!」
一行を乗せたトレーラーは、労働キャンプの倉庫へと入っていった。
「ひやひやしましたね・・・・・・」
「ああ、危ないとかだったよ。」

トレーラーが停止し、その瞬間トレーラーから一斉に人が出てきた。
そして、数分もしないうちに全員出揃った。
「・・・・・・全員いるな?
では、これからそれぞれに、与えられた任務を果たしてもらう。」
と、そこに荷を下ろし終わった、食料搬入業者のオヤジが割り込んできた。
「なあ、あんたら・・・・・・・
お、おれはもういいだろ?
ほら、もう荷も下ろし終わってるし・・・・・・・」
「・・・いいだろう。戻るがいい。」
「怪しまれるんじゃないよっ!」
それを聞くと、オヤジはダッシュでトレーラーに乗り込み、そそくさと、トレーラーを運転して行ってしまった。
後には、トレーラーの巻き上げた土煙が見えるだけだ・・・・・・・。
「では、我々は弾薬庫の爆破に向かう・・・・・・・」
「・・・・・・・・俺達は、侵入経路の確保を行う・・・・・・」
そこに、一人の悪魔人が現われた。
ボンテージの服の合間から虎縞の毛が生えている猫の獣人であった。
「皆さんお揃いね。」
彼女はこの作戦のリーダーに話しかけた。
「どうだ?首尾の方は?」
「まあまあね。
はい、これが変装用の服よ。」
「御苦労。皆これに着替えろ!」
猫娘は、変装用の服を皆に渡した。
メンバーは皆、手早く着替え始める。
・・・・・が、葛城達の分は無い。
「あっ・・・・・・・と、ごめんね君達。
本当は君達の分まで調達出来る筈だったんだけど・・・・・・
途中で危うくばれそうになってしまって、調達出来なかったの。
でも、この人間用の娼婦の服と、お稚児さんな服なら用意できたわ。
この娼婦服は文句無しに、そこの女の子ね。
で、このお稚児服は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
やっぱり、貴方が一番可愛いから、貴方が着るといいわ。」
「ええっ!!ぼ、ぼくですかぁ!?」
「・・・・・・・・・仕方があるまい。作戦成功の為だ。」
園田の冷酷な一言で上河は泣く泣くそのお稚児服を受け取った。
「とほほ・・・・・・・」
園田は猫娘に向き、
「その二人はいいが、俺達はどうするんだ?
予定じゃ、バール兵に変装してするはずだったんだが。」
とバール兵の服を要求した。
「もちろん、そうしてもらうわ。
但し、服は自力で手に入れて頂戴。
この先に、兵士共の詰め所があるわ。
そこで、兵士共を片付けて力づくで手に入れるのよ。」
「それって、"押し入る"って言うんじゃ・・・・・・・」
早坂の素朴な疑問を遮って、猫娘は答えた。
「何かおっしゃったかしら?」
「いや・・・・・・何でもない・・・・・・」
「それでは、作戦を実行に移そう。」
この作戦のリーダーは僕達の方を向くと、こう付け加えた。
「特にお前達!
お前達が最初にしくじったら、もう作戦は失敗だ。
しっかりやれ!」
僕達は、無言で頷いた。
「では、作戦を開始する!
皆、健闘を祈る!」
一行は無言で頷き、それぞれの役目を果す為に散って行った。
「それじゃ君達、兵士共の詰め所に案内するわ。
アタシの後について来て。」

猫娘のあとを続いて、すぐに狭い通路に入った。
「詰め所は、この先よ。
ここから先、声を立てるんじゃないよ。」
みんな音を立てないように詰め所のドア前まで歩いた。
「ここが、詰め所よ。
さ、貴方達。頑張っていらっしゃいな。」
そして僕達は、詰め所に躍り込んだ!
「な、何だ貴様ら!?」
詰め所にはフードを被りマントを羽織った三人のバール兵がいた。
かれらが動く前に僕は心臓を狙い銃を撃った。
撃たれたそのバール兵は、致命傷を負ったのだろう、そのまま前めりで倒れこみ、
血の海の中、少しの痙攣のあと、動かなくなった。
残りのバール兵は突然のことに立ち止まっていた。
その隙を逃さず、園田と早坂は彼らを切り伏せた。
初めて人を殺した。
意外と冷静に引き金を引いた自分に驚きを隠せなかった。
そして僕たちは、その血のついた衣服を剥ぎ取って着替えた。
「・・・・・何だか落ち着かないな・・・・・」
「何言ってんのよ達也。あたしよりマシでしょう?」
ほとんど下着姿と間違えそうなピンクのへそだしの服を着た桐島が恥ずかしそうに言った。
「そうですよ、早坂さん。ぼくより数十倍いいですよ。」
上河はさらに悲惨だった。ほとんど裸で、着ている物は腰巻ぐらいだった。
「・・・・・・・・・・・・俺が悪かったよ・・・・・・・・・・。」
ドアが開いた。
猫娘だ。
「襲撃成功ね。
それじゃ、アタシはこれで。
これ以上ここにいると、アタシも怪しまれるからね。
それに、ダンタリオンのヤツがそろそろ、イニシエーションの儀式を終える頃だわ。
この作戦中、あいつにちょろちょろされると困るからね。
貴方達が到着するまで、何とかあいつの部屋に足止めしとくわ。
それじゃ、早く来てね!」
そう言うと、猫娘は足早に去って行った。

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