偽典・女神転生 東京黙示録

第三話「前兆」

ページ1   

何か通信が届いている様だ。
『こちら原宿シェルター。
救援を求む!救援を求む!
シェルター内に悪魔が侵入。
侵入経路は不明。
外部に破損はなく、結界も無事機能している。
住民の大半が、ゾンビウイルスに汚染され、
死傷者も多数発生。
状況改善の見込みが全く無い。
今後の予測も全く不可能。
絶望的だ。
至急、デビルバスターの・・・・・・・』
そこで、通信文は終わっていた。
原宿シェルターに悪魔が侵入し、シェルター内が壊滅状態にある。
これは、大変な事が起ってしまった様だ。
一刻も早く、西野達にこの事を伝えなければならない。
僕は、部屋を飛び出した。

すぐにB5Fのデビルバスター詰め所に向かった。
「どうしたんだ、葛城君。血相を変えて。
何かあったのか?」
僕は、原宿からの緊急通信について、詳しく西野に報告した。
「原宿って言ったら、ここ初台シェルターよりも、規模のでかいシェルターだぜ!
それだけ、デビルバスターの人員もいるし、シェルターの防護力も上だ。
それってさ、ガセじゃないのぉ?」
山瀬は明らかに嘘と決め付けていた。
「勿論、偽りであるという事も考えられる。
しかし、仮に本当だとすれば、一刻を争う事態だ。
管理部に報告し指示を仰ごう。」
西野は管理部へ、通信を入れた。
「こちらは、デビルバスター第二部隊、隊長、西野だ。
管理部の橘兼嗣上官に、取り次ぎ願いたい。」
西野は、葛城から報告を受けた内容を、余すところなく、管理部に報告した。
「・・・・・・は、しかし、それでは万が一に・・・・・はい。
・・・・・・・・・・・そうですか、了解しました。」
「どうだったんですか、隊長!」
「すぐに出動ですか!?」
英美は今にも飛び出そうな様子だった。
「管理部の意向では、事実柄を調査した上で、出動命令の必要性を検討したいと言って来ている。」
「・・・・・・・そんな!
懸念通りデマであった場合はいいですが、もし、本当に原宿シェルターに悪魔が侵入し、危機に瀕していたら、一体どうするつもりなんですか?!」
「私も同じ事を言った。
しかし、確認が済むまでは待機せよとの命令が出されただけだ。」
「なんて悠長な事を!!
現に原宿からは、明確に応援を求める通信が届いているってのに!
隊長、それに原宿シェルターには、桐島隊員の両親と、橘さんのお母さんがいるんです。
私情なのは分かっていますが、黙って放ってなんか置けません!
どんな処分を受けても構いません。
俺は、ひとりでも行きます!」
「達也・・・・あ・・・・・早坂隊員!!」
早坂はひとり、詰所を飛び出して行った。
「隊長、私も行かせてもらいます・・・・済みません!」
「英美さん、待って!
済みません、隊長・・・・・私も行かせてもらいます!」
英美も、由宇香も、行ってしまった。
それを、無言で見送っていた西野が、
おもむろに通信ボタンに手を延ばし、管理部に通信を行なった。
「DB第二部隊より、志願者のみで編成した原宿救援部隊は、
ただ今より、原宿シェルターに向け、緊急出動致します。
人命救助最優先。
事実柄の調査も、それと同時に行なう所存です・・・・・以上!!」
西野は管理部の返答も聞かず、一方的に通信を切り、山瀬の方に目をやり、こう言った。
「私は、今から原宿に向かう。
おまえ達に、無理について来いとは言わない。
しかし、早坂たちを、あのまま放っておく訳にもいかんのだ。」
「上層部の命令に背く何て、そんな気違い染みたこと、オレはごめんですよ。」
「そうか、ならば仕方ない。
山瀬、お前には、ここでの待機を命ずる。
有事の際には、適切な判断の元に行動せよ。
そして、葛城君。
申し訳ないが、山瀬だけでは手が足りない。
我々が戻るまで、通信関係のオペレーターとして、山瀬の手助けをしてやってくれ。
管理部からの通信は、私のターミナルにつないでくれればいい。
宜しく頼んだぞ。」
由宇香の側にいたかったが、デビルバスターでない僕は素直に従うしかなかった。
詰所の中には、重苦しい静寂が続く・・・・・・
出動した部隊から、状況を説明する通信が入ったようだ・・・・
山瀬にも聞けるようにスピーカーに切り替え、通信スイッチを入れた。
『我々は今・・・・
原宿シェルターの隔壁扉前にいる。
シェルター内の電気系統が全てストップしており、
隔壁を開く事が出来ない。
生存者の確認も不可能。
これ以上、我々には講じる手段がないと判断し、
これより帰還する。』
黙って聞いていた山瀬が、マイクを引っつかみ、通信する。
「原宿シェルターの状況はどうなんですか!」
『原宿シェルターの状況はきわめて危険だ。
ただし、悪魔の侵入によって壊滅状態に陥ったという様な痕跡は、外部に見られない。
何らかの事故が、内部で発生した事に間違いないが、応援の通信はパニックを起こした住人による、誤報である可能性も考えられる。
だが、電気系統がいかれている状況から推測するに、シェルター内の酸素の供給が断たれている可能性が、非常に高い。
救援が必要な事に、変わりはないのだよ。
そこで・・・・・・
他の部隊に対し、技術陣を伴わせた、救援部隊を要請する事にした。
原宿シェルターの状況は以上だ。』
「了解!直ちに帰還して下さい。」
西野からの通信は終了した。
山瀬が意外に真剣に、西野らを心配している姿が、何だか微笑ましかった。
「なんだと、葛城。
ニヤニヤして、こっちを見てんじゃねぇよ!!」

通信が入った。どうやら管理部の様だ・・・・・・・・
『デビルバスター第二部隊隊員中、命令を背き、原宿救援に向かった者は、帰還次第、管理部に出頭せよ。
繰り返す・・・・・・・・・・・・・・・』
管理部の通信がまだ終わらない内に、西野達が帰還して来た。
「管理部からの通信は、私の方でも受信した。」
「俺のせいです!
隊長、また、隊長に御迷惑を・・・・・・・」
早坂が申し訳なさそうに言った。
「私も、あのまま原宿を、放って置くつもりはなかったんだ。
第一、本当にまずいと考えるなら、あの時に止めていたよ。
だが、隊員の事を考えるなら、どんな事をしてでもあの時止めるのが、
立派な隊長のする事だろうがな。」
「隊長・・・・・」
「では、我々は管理部に出頭するぞ。
葛城、山瀬、お前達はもう解散して良い。」
「じゃあ、俺は帰るとすっかな。じゃあな!」
山瀬と入れ替わりに、デビルバスター1部隊入ってきた。
「謹慎処分となった、第二部隊に変わり、我々、DB第三部隊が急遽当直となった。
さあ、用のない者は立ち去りたまえ!」

前ページ次のページ

偽典TOPヘ

楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] ECナビでポインと Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!


無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 解約手数料0円【あしたでんき】 海外旅行保険が無料! 海外ホテル