ピクシーが一匹代々木公園をふよふよと飛んでいる。
両手には彼女の二倍ほど大きい花の冠を持っていた。
「よお、マベルちゃんじゃん。そんな大きな花冠を誰にあげるんだ?」
「誰かと思ったらボブゴブリンのパックじゃない」
「ロビングッドフェロー様と言って欲しいものだ。で、誰にあげるんだ?」
「教えてあげませんよ。(AA略)
あんたには関係ないことだし」
「ちぇ、けち」
パックの手には人間の機械らしき長方形の道具を握り締めていた。
その道具からはざーざーと妙な音を発している。
「………パック、その妙なものは何?」
「ああ、これ?
これはな、ガラクタから貰ったラジオというものらしい」
「ラジオって何?」
「人間の持ち物らしいが、
ニュースや野球中継、音楽、ドラマ、そして何よりも伊集院○も聴けるらしい」
(って、伊集○光って誰なの?)
「さっきからいくら操作しても何にも起こらない」
「壊れているのじゃないの?」
「ガラクタ、不良品渡しやがって、悪認定じゃん」
「そんなことより、大戦鬼じゃなくて人修羅見かけなかった。」
「人修羅……ああ、あの妙な悪魔か。
それなら今頃面白いことが起きているかもな」
「パック、何かいたずらしかけようしていない?
さっさと白状しないとジオを…」
「待て待て、分かったよ。
ただ単にティータニア様の目に浮つき草の汁を一滴垂らしただけだって。
その人修羅とやらがちょうどそこに向かっていたから
面白いことが起きそうだと言っただけじゃん」
「それが問題なのよ。
というか女王様に対してどうしてそんないたずらするの?」
「面白いから」
「聞いたあたしが馬鹿だったわ。
で、どこに女王様はいるの?」
「ほら、そこ」
彼の指の先では今まさに二人が対面しているところだった。
「ウホッ、いい人修羅」
「やらないか」
と言っているに違いない。
あいつは女悪魔好きだけど、交渉下手で今まで成功したことが無いから、このチャンスを逃すわけが無い。
飛んで邪魔しようと思ったその時、羽を掴まれた。
「何すんのよ。
勝手に私の自慢の羽根に触んないでよ」
「まあまあ、ちょっとここで見学していようぜ。
しかし、何でまたあんな悪魔のことを気にしている。
別にいいじゃない、エッチなことぐらい」
「エッチなことをすることは関係ないの。
問題はあたしのおもちゃが誰かに使われていることよ」
「おもちゃって、普段なにやっているんだ」
「彼の刺青にいたずら書きしたり、髪の毛やあの首の角にリボンを結んだり…」
「…本当の意味のおもちゃなんだな」
そんな言い争いしている隙に、女王様は彼の耳たぶを噛んでいる。
「ああ、そこは寝ているときにくすぐると面白い動きをするからお気に入りの場所なのに」
「マベル、本当に何も分かっていないな。
おとなしく見とけ。
せっかくのビバ!セッ○スじゃん」
(ビバはイタリア語でセ……と突っ込むのを止めよう)
今度は女王様が彼にのしかかり、深い口づけを交わしていた。
口づけの後、女王様は挑発するかのような表情で彼を見つめ、
女王様の緑色の服は一瞬にして無数の葉っぱに変化した。
舞い降りる葉っぱは彼の身体の上に降り積もり、
女王様は完全な裸体に変わった。
「これはもしかして伝説の摩擦係数0じゃん」
「パック、それってなんか違うと思う」
「わかんないかな、このたとえ」
「全然わかんないって。
って、くだらないこと言っているうちにすっかり盛りついているじゃない。
なんとかしなさいよ」
女王様は彼の上ですっかり快楽の虜になっていた。
あたしはパックの首元を締め上げながら言った。
「何とか女王様を元に戻せ」
「分かった、分かった。
このダイアナの花で作った薬品をかければ直るよ。
だから、首を絞めないでくれ」
「さっさと渡しなさい!!」
「渡すから、先に手を放せ」
彼はがさこそとポケットを探っていた。
そしてようやく薬瓶を見つけた。
「どれくらい時間が掛かっているのよ。
ほらもうすっかり事は終わっているのよ」
「……ただ単に早漏なだけじゃ…ぎゃあああああああ!」
あたしのおもちゃに文句言うのは100年早いって。
しびれているパックをおいて、さっさと薬を呆けていた女王様にかけた。
そんなことも知らない彼は女王様に説得しようとしたその瞬間、
パシーーン!
女王様のビンタが彼の頬を炸裂した。
「誰に触れていると思っている。この痴れ者が!!
絶対零度!!」
うわああああああああああああああああ!!
代々木公園中彼の絶叫が響いた。
面白いオチになったから今日はこれで許してあげよう。
って、ちょっとそこの天使。
勝手に彼を連れて行かないでよ。
それは私のおもちゃなんだから。
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あとがき
完全にチャンピオンのパロディです。
チャンピオンはネタ好きの人にはたまらない雑誌だから大好きです。
本当はティータニアのHな小説を書こうと思っていたのですが、挫折しその代わりそのころはまっていたコピペ改造でコメディタッチに代えました。