かかるはずの無い電話が繋がった。
電話の向こうから危険な響きがある声が何か要求してきた。
「マーヤを殺して」
自分でも信じられない言葉を発したことに驚いた。牧村の名前を言おうとしたのに。
「依頼は受託したぜぇ。もっともおまえが頼まなくても、俺は殺しに行っていた、ひゃはははははは!!!!」
うれしいそうな奇声が向こう側から聞こえてきた。
電話が切れた後、もう一度かけてみたけど、聞こえてくるのは単調の音でしかなかった。
あれは酔っ払ったあたしが見た夢?それとも現実?
気がついたら、ルナパレスの前にいた。少しマーヤにあうことに気まずさがあった。
私はマーヤのことが好き。殺したいと思っているわけ無いじゃない。
あんな噂話、嘘に決まっているじゃない。
「マーヤ、たっだいま〜」
ドアを開けたら、マーヤはバスローブ姿でカニ缶をつまみにビールを飲んでいた。
「お帰りなさい、うらら」
化粧しなくても綺麗な笑顔。どんなに飾り立てても、負けてしまう天然の美貌。
「どうしたの、そんなに酔っ払っちゃって。今水持ってくるから」
バスローブ越しに見えるマーヤのプロモーション。
私にもあれだけ胸があれば私のこと好きになってくれる人いるかな。
「はい、お水よ」
美声といってもいいほどの声。そして、いつも回りの人を気遣っている。
きっと、男ってあたしよりマーヤの方が好みなんだろうな。
「あたし、マーヤのことうらやましい」
「え?!」突然抱きつかれ、純情そうに驚いていた。
そう言えば、マーヤ 男と付き合ったことないだよね。
天真爛漫なうえに処女なんて男たちが好きそうな女性だよ。
あたしには持っていないものをマーヤが持っている。
この唇も綺麗で、おいしそう。気がついたら、マーヤの胸を揉んでいた。
「だめよ、明日早いし。うららも明日会社があるんでしょう。それに午後からは…」
うるさい口をKISSで黙らせ、舌を絡ませた。マーヤの息遣いが次第に荒くなった。
「はあはあ、うららやめて。今日はどうしたの?」
マーヤの目に欲情かかってきた。健康的な色気と淫乱な清純さが混ざっていった。
そんなマーヤをむちゃくちゃにしてやりたい。心の奥底から叫んでいた。
マーヤをベットに押し倒し、乱れていたバスローブを開き、マーヤの豊満の胸の乳首を舐め始めた。
胸を揉んでいた手は腹部、下腹部と少しずつ身体を這って行き、そして一番敏感なところを弄び始めた。
「やめてほしいの? こんなに乳首が立ってきて?ここだってこんなに濡れているじゃない。
こんなに濡れていたら初めてでも簡単に入るね」
「いわないでよ!お願い止めて」
「でもマーヤだけ気持ちよくなるってずるくない。やめないよ」
マーヤの脚を持ち上げ、下の花弁が直角に交わるように擦り付け続けた。
「マーヤ、気持ちいいよ」
マーヤの目には正気を失いかかり、ただ快楽を受け入れていた。
そんなマーヤを正面から犯したい。脚を離し、正常位で動き始めた。
マーヤのお腹に始めてみる痣があった。
そんな痣もすぐに忘れ、クリ〇リスがお互い擦れ合い、より快感を貪った。
気がついたら手がマーヤの首を絞めている事に気づいた。マーヤの目は焦点が合っていない。
慌てて手を離した。マーヤは苦しそうに咳き込む。
「ごほごほ。どうしたの、うらら。今日は激しかったけど、何かいやなことあったの。もしかして牧村のこと?」
「ごめん」
何も言えなかった。ジョーカーに頼み事をしていたことを。マーヤに嫉妬していることを。
「先にシャワー浴びるから」マーヤはそう言ってバスルームに行った。
何でマーヤを殺さなければならない。あたしはマーヤのことは好き。
マーヤは無茶のことをするから守ってあげないといけない気がする。
心の奥底から何かつぶやいている。
「シャワー終わったよ。うらら、明日見合いパーティーがあるんだから、早く寝ないとお肌が荒れるぞ」
「うん」
鏡に私の姿が見える。私の情けない姿を見て、嘲笑していた。
「おまえがなぜマーヤを殺したいのか分からないのか?教えてやろう。
おまえにとってマーヤは重み。
おまえがマーヤが好きなのは、マーヤがおまえを頼るからだ。
おまえは誰か依存しなければ生きていけないからだ」
私の声でそれを言わないで。
ガシャーン。私の右手が鏡を割った。少し破片がこぶしを傷つけた。
「うららったら、本当にどうしょうも無いね」
そういいながら、マーヤは不器用に右手に包帯を巻いた。
「明日はいい男捜すんでしょう」
「マーヤこそそろそろ恋人作ったら?」
「いま仕事忙しいし、それにいま気になる男の子がいるの」
「もしかして、あのデジャブの少年。高校生なんてやめときな。
それにマーヤにお似合いの人はあたしみたいな家事全般に得意な人じゃないと」
「酷いよ、うらら。まるで私が家事がぜんぜん出来ないみたいじゃない」
「この部屋見れば一目瞭然だけど」
二人で笑い合う内に、「あの噂は噂に過ぎない」と自分に信じ込ませた。
「そう言えば、マーヤ。お腹の痣どうしたの。以前見たときは無かったけど?」
「デジャブがおきてから出来たみたいなの。ときどき痛むの」
「へぇー。それって前世の印かもしれないね。もしかしてデジャブの少年ってマーヤのナイトかもしれないね」
「なーに冗談言っているの。もうこんな時間よ。早く寝ないと」
部屋に向かう途中、あたしは一言言いたかった。
「ごめん、マーヤ」
でもなぜか言えなかった。
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あとがき
あるサイトに捧げたSSです。
TUMIと対になるSSです。
結構がんばって書きました。