偽典・女神転生 東京黙示録

第五話「崩壊」

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「食事も終わったことだ。今後の作戦を練りたいと思う。
よいかな?」
「はいッ!!」
「まず、見過ごす訳には行かないのが、階下の生存者の確認作業だ。
我々の様に難を逃れ、連絡手段を絶たれたまま、何処かに身を潜めている人間がいないとは限らない。
さらに、B8Fには武器庫がある。
B8Fをクリーン化することは、やるだけの価値はあるのだ。」
「ですが、階下にはゾンビが溢れています。
どうするんですか?」
早坂は早く動きたいそうに見える。
「そこで、ひとつのプランがある。
各階のゾンビを、その階毎に完全に駆逐し、順々にクリーン化して行く方法だ。
まず、1フロア降りる毎に、その階の侵入口全てを溶接して塞ぐ。
そして、完全に全ての出入りを禁じ、ゾンビの駆逐に取りかかる。
ゾンビを全て倒したら生存者の確認をし、生存者がいれば保護し、まずは医療施設へ行き、血液検査を行なう。」
「どうして、血液検査を?」
と言う由宇香の質問に桐島が答えた。
「噛み付かれたり、ひっかかれたりして、ゾンビは汚染された人間の血液の中には、ZMVと呼ばれるウイルスがいるのよ。
そのウイルスが検出されたら、その人は数時間以内に死亡するし、死亡した後はゾンビ化してしまうの・・・・・・。
治療用の血清剤はあるにはあるんだけど、血清を投与しても治らない人間もいるわ。」
「そうなんですか・・・・・」
「そうだ。
血液中にZMVが検出された者には、血清を投与し、この病棟に一旦隔離する。
回復すればファームに移し、回復しなかった場合は・・・・・・」
「殺すしかないと・・・・・・・」
由宇香の声に震えが入っていた・・・・
「残念だが、そういう事だ。
無論、ゾンビ化を起こしてからだがな。」
「そうやって侵入口を塞ぎ、その階のゾンビを、その階の中で駆逐して行けば、一つずつ階がクリーンになって行くって訳ですね。」
桐島は確認するように聞いた。
「その通りだ。」
「了解しました。」
「では、必要な物資を調達せねばならん。
網膜IDが変更されている為、まずは扉を破壊しなければ。」
「あ、それなら大丈夫です。
階段の扉くらいなら、私が今持ってる機材で何とかなります。
実は、溶接機材を取りに行った時に、調達しておいたんです。」
「では、階段を利用し、階下に降りる作戦を行なおう。
異論は無いな?」
「ありません!!」
勿論、西野さんの作戦に異論はなかった・・・・・

B8Fに向かう階段の扉に着いた。
「溶接を解くわ・・・・・・・・・・」
英美は素早く、扉の溶接を解いた。
ものの5分もかけずに終わった。
「OKよ!」

B8Fに降りてすぐに桐島は階段に続く扉を溶接した。
「扉を溶接しました!」
「よし!桐島と早坂は、他のエレベーターや階段の溶接に向かえ!
我々は、武器庫に向かう!」
「了解!」
早坂と桐島は素早く移動し始めた。
「これから我々は武器庫を確保する。
橘君、史人君、周囲の警戒を怠るな!」

研究者のゾンビが西野さんの銃によって倒れた。
「・・・・・・・・やけに静か・・・・・・ですね・・・・・。」
「ああ。B8Fにいた人数と比べると、ゾンビの数が少ない・・・・・
とにかく武器庫で武装を強化しよう。
ゾンビの駆逐はそれからだ。」

僕達は西野に誘導され、武器を調達する為に武器庫を訪れた。
「葛城は、入り口を見張っていろ!
私が捜してくる!」
西野はそう言い放つと、武器庫の奥に消えて行った。
「よし、これでいいな。」
どうやら早坂達が帰ったようだ。
「隊長!扉の溶接終わりました!」
「ワォンッ!!」
「よし、御苦労だった!
皆受け取れ、新しい武器だ。今すぐ装備しろ!
装備が整い次第、ゾンビの駆逐にかかるからな!」
「了解!」
一同は、西野から渡された新しい武器を装備した。
「これからゾンビの駆逐を行う。各自油断しない様に駆除するように」
「了解!!」
武器庫を出ると、何処からかゾンビ達が集まり出してきた。
皆渡されたばかりの銃で一斉に撃ち始めた。
取りこぼしたゾンビは早坂と西野さんのセラミックブレードによる斬撃で片付けていった。
僕と由宇香、桐島は魔法と銃で彼らのサポートを行った。
ゾンビとなっていた死体を調べていくうちに、奇妙な点に気付いた。
研究員や労働者のゾンビはいるのに、デビルバスターのゾンビがほとんどいないのか?
B8Fにはデビルバスターが常駐しているはずなのに・・・・・・
「おかしくありませんか、隊長。なぜ、デビルバスターの姿がいないのですか?」
「確かに。いくらワクチンを打ってゾンビになりにくいとはいえ・・・・・・
まったくゾンビになっていないのはおかしい・・・・
詰め所に立ち寄るぞ。」
詰め所の中に入ると、
デビルバスター達の無残な死体が転がっていた・・・・・・・・
「ひどい・・・・・」
「隊長!!彼らの死体は噛み跡や引っ掻き傷がありません。
ゾンビでやられたものではありません・・・・・・・
まったく無傷の死体もあります!」
「・・・・・なんだ・・・この光景は・・・一体どうやってこれだけのことが出来るんだ・・・・」
「ムールムールか・・・・・・・。
ゾンビの出現だけだったら彼らだけでも十分対応できただろう・・・・・・
奴はそれを防ぎたかったんだな・・・・・
ゾンビ化していないのは幸いだ・・・・・・
ゾンビに喰われないようにここを封鎖しろ。」
「了解。」
桐島は詰め所のドアを溶接した。

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