朝食を食い終わった後、早坂は上田とともに当直の任に就いた。
僕は作戦に参加できるかどうかを桐島に聞くために女性エリアに向かった。
「ねぇ、あんた!」
女性が一人僕に話しかけた。
「ここは女性専用エリアよ。
男共の出入りが禁じられてる訳じゃないけど、無闇に出入りしてたら、いい顔されないわ。
気をつけなさいね。」
「すまないけど、桐島はどの部屋ですか?」
「最近は言ってきたあの子ね?その子ならそこの部屋よ。」
「ありがとう。」
「用事が終わったら、さっさと出て行ってね。」
言われた部屋に入ると、そこには桐島のほか数人の女性がいた。
「ちょっとー、気安く女性の部屋に入ってこないでよね。
シェルターの中って、そんな礼儀知らずの人ばっかりなの?」
「ハイハイ、ボーヤ。
レディの部屋に気安く入っちゃ駄目よ。」
・・・・・・・・・・・・部屋を追い出されてしまった・・・・・・・・・
桐島も部屋の外に出た。
「葛城君。どうしたの?」
「少し、桐島と話したいことがあって…」
どの作戦に参加できるかどうか聞こうとした。でも、
「あたしね。葛城君に言いたい事や、聞きたい事は一杯あるのに、頭の中でうまくまとまらないの。
何だか、あんまりいろんな事が起こり過ぎて、まともな感覚や、感情が麻痺しちゃったみたい・・・・・・・・。」
桐島の言うことは分かる。
今でも、この状況が夢ではないかと思っている。
あの惨劇が現実ではなかったことを願っている。
「それでね。唯一まともに言える事は、今回の新宿解放作戦の事だけだわ。」
「そのことについて聞きたかったんだ。で、どうなりそう?」
「あのね、渡邊さんの態度だけを見れば、私達も何とか参加できそうな感じなの。
でも、他の幹部達の態度が渋いみたいね。
まだ、どうなるのか分からないわ。」
「ありがとう。参加できることさえ聞ければ十分だ。」
「・・・・・・・・・ごめんね、葛城くん。
もっと、落ち着いたら、ちゃんと色々話をしようね。
今はね、目先の事しか考えたくないのよ。
辛い事は、思い出したくないんだと思う・・・・・・・」
つらいことを思い出したくないか……
そういう思い出したくないことに限って、夢に出てくる。
今日も束の間の安眠を取るために薬の力を借りなければならない。
たとえ、復讐しても決して消えないだろう悪夢。
唯一解放されるのは、死だけなのか………