偽典・女神転生 東京黙示録

第十一話「抵抗」

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都庁の中では4種類のレジスタンスたちがいた。
仲間が殺され、自らも傷つき、もはや戦意を失った者。
目はすでに死んでいて、自ら戦いに戻る事はないだろう。
地獄から帰還してなお、再び地獄に戻ろうとする者。
殺された戦士たちの鎮魂のために、
己の愛銃を手入れをし、
その傷ついた身体を戦場に帰還しようとする勇者たち。
惨劇を知らない新参者。
これから悲劇を知らず修羅場に無謀にも乗り込む人たち。
そして、動かないもの。
安置されているものもいるが、多くはその姿を曝け出されている。
食い荒らされていた痕がある彼らはもう戦う必要はない。
ただ蛆虫の餌と化していく。
ずいぶん感傷的なことを思うものだ。
惨劇を見れば見るほど、自分がここにはいない
どこか別の場所でこの戦場を眺めている気がしてくる。
全身が震える。
恐怖に震えている?
いや逆だ。
早く戦いたいと身体が昂揚している。
自分がなぜこんなに好戦的なのか不思議に思う。
この都庁に入ってから何か違和感を感じている。
ここでは自分が何もかもできる幻想に囚われていく。
ダンタリオンを撃った感触が忘れられず
スラッグ弾が装填されているモスバークM500の重みを確かめた。
冷たい銃身が肌を突き刺す。
半分夢を見ているかのような僕を目覚めさせたのは苦悶の声だった。
「もうイヤよぉ・・・・・・
何であたしが、こんな目にあわなきゃならないの・・・・・」
その声の主は右腕に巻いた包帯が血で赤く染まっていく女だった。
この地下一階では多数の負傷者で溢れ返っている。
救護班は次々と運ばれる負傷者たちを忙しなく応急処置をしている。
左足の骨折の治療をしている医務部隊のひとりがこちらに気づいたようだ。
「貴方達、応援部隊ね!
今、タワーに第二次攻撃部隊を、送ろうとしてるの!
貴方達も行ってあげて!!」
彼女は慣れた手つきで包帯を巻いている。
「バエルのしろだけあって、悪魔共が強ええぜ!
俺の銃が、あんなに役に立たんとはな!」
「大人しくしてよ。傷が開いて治る傷も治らないよ」
「分かった、分かった。
応急手当程度で済む傷で良かったぜ。
手当てが間に合わなくて、死んで行った奴もいるからな」
「そっちの処置が終わっているならこっちを手伝え。
開腹止血術を始める。
中心静脈の確保とデキストラン加乳酸リンゲル液を準備しろ」
「ハイ、隊長」
足早に去っていった。
「中は酷い有り様だ・・・・・・・・・
おまえも見ただろう。
仲間が大勢死んでいったよ・・・・・・・・・・
死んで行った奴等の為にも、絶対にバエルを倒すんだ!
一階で第二次攻撃部隊の編成をしているところだ。
早く行ってやってくれ。
…………
畜生・・・・・・・・・!バエルめ・・・・・・・・・!」
自分の無力さに後悔しているようだ。
僕たちは一階に向かうことにした。

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